鍵盤の反応が悪い

2022/3/8 同様の問題でお悩みの方からメールを頂いたので一番下に追記しました。

 

 液晶ディスプレイの修理をしてからしばらくした後、突如液晶ディスプレイ近くのE♭(D#)の鍵盤が弱く弾いても強く弾いた時の音が出るようになってしまった。まともに曲がひけないやん(´・ω・ ` )

ひとまずまた分解して修理する。

 

★用意するもの

プラスドライバー

鉛筆

ほこりとかをとれる掃除道具

kromeを分解・組み立てる根気

ねじがどっかいってもあきらめない心

①kromeの背面のねじをはずして鍵盤ユニットを取り出し、問題の箇所の鍵盤を外す。外すとこのように基板(緑色のやつ)やシリコンパッド(基板のすぐ下、赤枠で囲っているのが問題の箇所)等が顔をだしてくる。

 

分解途中の写真は撮ってなかった(´・ω・ ` )

②シリコンパッドをはがして基板のお掃除。そして問題の箇所の基板側の導通部分を鉛筆でぬりぬりする。

③シリコンパッド内部にある2つの導通パッドにもぬる。これで修理完了。

無事直ったので修理前後で比較してみる。弱く弾いても強く弾いた時の音が出ていたE♭(D#)がちゃんと動作している(  `・ω・´ )


鍵盤の弾いた強さの読み取り方とか今回の原因とか

 ひとまず無事に修理することができた(  `・ω・´ )ところで鍵盤を分解してみると何となく強さの読み取り方とか原因が分かってきたので備忘録として綴っていく。

 kromeの鍵盤を横から描いてみるとこんな感じ。鍵盤を弾くとシリコンパッド(図ではゴムパッドと書いているけどシリコンが正しい)がつぶれ、シリコンパッドの中にある導通パッドが基板にある導通部分に接触するようになっている。

 シリコンパッドの中には、修理時の写真にもあるようにそれぞれ高さの違う導通パッドが2つある。高さが違うってのがミソ。鍵盤が押されるとシリコンパッド内部の導通パッドが基板側の導通部に接触するが、高さが違うので当たるタイミングに「ずれ」が生じる。この「ずれ」の時間を読み取って強さを読み取っているだろう。そして高さが短いパッドが基板の導通部に接触した時に「ずれ」の時間に合う強さの音を発音するのだと考えられる。

 ちなみに強く弾くと「ずれ」の時間は短く、弱く弾くと「ずれ」の時間は長くなる。

 

 さて、今回の原因は導通パッドや基板の導通部の摩耗ではないかと思われる。摩耗すると導通パッドと基板の導通部がうまく導通せずうまく読み取れなくなってしまうだろう。

2022/3/8追記 下記の追記のように摩耗というよりは汚れによって導通しにくくなったってのが正しいだろう。

 今回の弱く弾いても強く弾いた時の音が出るという問題だが、多分長い方の導通パッドが摩耗により基板の導通部に接触しても反応せず、短い方が基板の導通部に接触したのではないかと思われる。そうなると「ずれ」は無いとして読み取られ、強く弾かれたと誤検知しているのではないかと考えられる。

 というわけで、うまく導通できていないのであれば導通できるように補強してやれば良いので、導通パッドや基板の導通部に鉛筆で塗るという方法で修理できる。

 また、センサ部分にほこりとかついて導通しにくくなっているのも考えられる為ちゃんと掃除してからすること。

  ひとまずこれで直ったけど、構造上また摩耗してしまうのでしばらくすると他の鍵盤も再発するだろう(´・ω・ ` )

 あとこの構造、kromeだけでなく他のシンセとかヤマハのエレクトーンとかも同様の構造を取ってるっぽい。ただ、他の機種で同様の問題はあまり聞かない(調査不足かも?)のでkrome特有の問題かもしれない。

 

■2022/3/8追記

 なんとこの記事を読んでいただいた方からメールを頂きました。

メールを送っていただきどうもありがとうございます。

 

許可を頂いたので、参考として内容の一部を抜粋しまとめたものを記載します。

 

今回の件と同様のお悩みがありKORGのサービスセンターに依頼し、修理されたようです。

サービスセンターで見てもらった所、センサー周りにホコリや動物の毛が入り込んでおり、そのため打鍵情報を誤検知していたのではないかという回答でした。

 

また、対策としては①鍵盤の中にホコリが入らないように覆うカバー(静電防止効果があるものが良い)をかけること。②猫などのペットがいる場合、鍵盤の上で遊んでしまうと毛が落ちてしまうので鍵盤に乗らないようにすること。

 

日々のお手入れは大事ですね。